DEAR 1st SEASON



「ご馳走様でした…」



「いいよいいよ♪」




タイチさんが上機嫌に店を出る。


鼻歌を歌うタイチさん…。


お酒が回っているんだろうか…。





「……♪~♪♪……」




何かテンション高い…。


そんなことより、ぶんちゃんから連絡あったのかな…




タイチさんの目を盗み、バッグに手を入れケータイを探す。






……やっぱりあなたの事が気になるあたしって……


何なんだろうね─…?



電源を入れた瞬間に切り替わるディスプレイ。





───えっ…?



そこには絶えないメール受信の画面が…。





一体……


何件受信するの───…?




よくディスプレイを見ようとした瞬間だった。






「彩ちゃん聞いてるぅ!?!?」



「きゃっ──…!!」






───カシャンッ…!





手からスルリとケータイが滑り落ち、地面へと落下する。





「ちょっ──…!!!」




拾おうとした瞬間。





━━━━━ガツッ!!!




「────…!!!」





両手を抑えられ、背中から壁に押し付けられている自分。





─────…えっ…?




自分が…


今どういう状況なのか理解出来ない。




なに───…?





タイチさんの酒を帯びた吐息が耳にかかる。





「…やだな……

タイチさん酔ってるでしょ………」





「──酔ってないよ。

俺ずっと彩ちゃんの事いいなって思ってたんだよね。」





────ゾクッ……




寒気が走る。



ちょっと……


冗談やめて……?




「悩んでるならさぁ、

俺が忘れさせてあげるよ」




「やっ───!」





グイグイ引っ張られる体。




目の前には──…



ギラギラと輝く夜のネオン。






──ラブホテル。






「……やっ─!!

やだ………!」





やだ…



やだ



やだよ。



誰か………!




誰か助けて………っ









━━━━ガッ!!!!







目の前で、



物凄い衝撃が起きた。

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