DEAR 1st SEASON
タイチさんにラブホテルに連れて行かれそうになった事より、何より。
あたしには、
今ぶんちゃんがここに立っている事の方が怖かった。
本当に、一番恐ろしい出来事だ。
「……ぶ…んちゃん…」
「…なにしてんだよ…」
その言葉には
その目には
込み上げる怒りを我慢している様子が伺えた。
今まで
ここまで怒っているぶんちゃんを見たことがなかった。
──…当たり前だ…。
彼女がラブホテルの前で揉み合いになっているんだもの。
怒って当然だ………
「……答えろよ─…」
「…………」
…おかしい……
喋っているのに声が出ていないなんて──…
「今日ドタキャンしたのは本当に悪かった。
最近…
ずっと会えなかったのは教習に行ってたから……
今日も急に教習行かなきゃいけなくて─…」
心臓が縮む。
教習………
だから最近会えなかったの?
「だから早く終わらせてバイト先まで行ったんだ。
でも既にいなくて─…
心配になって家にも行った………」
「……………」
「挙げ句の果てに…
電源切ってたろ……」