DEAR 1st SEASON






ぶんちゃんはそれ以上何も言わずに─…





くるりと回って一歩一歩歩き出した。






「………って……」





………待って……



待って……




違うの



違うんだよ




もうこんな事絶対にしない。



しないから……






ぶんちゃんが嫌な事しないから─…!






───…それでも。




ぶんちゃんの進む足が止まることはなかった。




その場から動けない。





だってあたしが辛かった時、

ぶんちゃんが光を持って来てくれた。





今、あたし辛いよ?




すっごくすっごく辛いの。



辛くて辛くてたまらないの



ねぇだから戻ってきて…?






戻って来てくれる。




戻ってきてくれるよね…?







「───…」






なのに………



ぶんちゃんが戻ってくることはなかった。





誰もいない道に一人。







………ひとり……。








「いや…………





いやだぁぁぁぁあ!!!」








月が、笑っていた。






人魚姫のように金切り声しか出ないあたしを。

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