DEAR 1st SEASON



メールを見て、頬に涙が伝う。




──…ずっと…


ずっと探していてくれたんだ…。




なのにあたしは何にも気づかないで……。



ぶんちゃんの気持ちを踏みにじった。






──別れよう──






脳に突き刺さった言葉。




離れないぶんちゃんの笑顔が今日はやけに突き刺さる。





「…………」





無意識にカッターナイフに手を伸ばす。




でもその手はすぐに止まった。







──『もうやめろよ』──





──『それ以上自分を傷つけるなよ』──…





───『また傷つけたら俺も同じ事するからな』───…






机の上のカッターナイフのすぐそばで。





そう……

光り訴えるアメジスト。




歪む光がそう語る。







カッターナイフとアメジストは常に隣り合わせに置いていた。


もう二度と切らないと決めたあの日から。





「……………ぅ……ぇ」




あなたは酷い人だ。



何をするにもあなたが存る。



あなたが隣にいないのに、あなたは平気で心に存在している。





どうしろと言うんだろう。



とてつもなく苦しいのにどちらにも動けないなんて。






───泣き喚くしか、なかった。







声が枯れるまで。


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