DEAR 1st SEASON
第16章 卒業―君から―
第16章 卒業─君から─
第16章 卒業─君から─
太陽の光が優しくなった。
もうすぐ、長かった冬が終わる。
一際長かった、冬が。
「彩ー♪
今日カラオケ行こうよ!!
ナナおごっちゃうよ!!」
「…ん…ありがとう。
でも今日はいいよ…」
「……彩……」
あたしの沈んだ気分を上げようと、必死なナナに申し訳がない。
けれど……
あたしは何をするにも無気力過ぎるんだ…。
……あれから。
ぶんちゃんから連絡があることはなかった。
偶然廊下ですれ違っても、とことん無視され続けた。
本当に──…
付き合っていたのが、まるで夢みたいだ。
「よーし!
HR始めるぞー!」
先生の声が教室に響き渡り、あたしは顔を上げた。
黒板には──……。
“第63回 三年生卒業式について”
と記されていた──…。