DEAR 1st SEASON




───…部活かぁ……。



中学生の時は、こう見えても“一応”テニス部だった。



入部から引退までやり遂げた事は自分的に楽しかったし、出来るならまたクラブに入りたいなぁ……。



……どうしよう。

またテニスにしようかな───…?




迷いながら顔を上げると、色んなクラブが体育館に入って準備をしていた。




───…ザワザワ……




体育館内に楽器を運ぶ吹奏楽部。


ユニフォームを着こなし、ボールを抱えている卓球部、バレー、テニス、バスケ部。



そして───……。




「………ん……?」



何やら見覚えがあるようなないような黒い法被の姿─……。



………あ。


見たことある、あの法被───……。



……確か入学してすぐだっけ?




廊下で偶然見かけた、

“あのかっこいい人”がすぐさま頭に浮かんだ。



……そういえば──……


あれは何部なんだろ…?



法被を着ている人は、何やら気難しそうに先生と打ち合わせをしていた。




「───…ねぇナナ。

あれって何部なのかな?」




「……ん~?どれぇ?」




ナナもあたしの視線を追って、法被を着ている人を見つめ、




「────何あれ?

何かすんごい本格的じゃんっ!!!!!」




背に虎と龍が描かれている法被を見て、ナナはそう声を挙げた。

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