DEAR 1st SEASON
───…その日の夜。
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入部届
1年1組
桜井 彩
★和太鼓同好会の入部を希望します。
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「───…よしっ!♪」
……書いちゃった。
とうとう書いちゃったよ、書いちゃった!
────カサッ。
入部届に迷わず名前を書き、ちょうど折り畳んでいた時だった。
───♪……♪♪…
────ビクッ!
机に置いてあるケータイが凄まじく振動を始めた。
思わず体が硬直し、ケータイを見つめる。
「びっくりした……誰?」
次の瞬間、ディスプレイに表示された名前を見てギョッとしてしまう。
「……亮……」
───そんな…
また?
何だろう…。
「…………」
最近、頻繁に連絡がありすぎる。
過去こんなにも亮から連絡があったことは……
ない───。
シカトすれば、次第に連絡は途絶えていたはずだった。
「───…だから今さら何なのよ……」
━━━━バシッ!
振動を止めないケータイをベッドに強く放り投げた。
……それで着信音が途絶えることを願って。
────けれど
───…♪…♪…♪
一向に途絶えない……。
「…………」
ここまでくると“しつこい”を通り越して、
───“怖い”。
……どうしよう──…。
鳴り止まない着信音を遮るかのようにあたしは自分の部屋を出た。
────…けれど二時間後。
「……嘘でしょ……」
戻ってきたあたしの目に飛び込んできた“不在着信履歴”を見て思わず息を呑んだ。
────22件……。