DEAR 1st SEASON




────ツンツン♪



ナナがにやにやしながら横であたしをこずく。




「……………っ、」



───………やだ……。

どうしよう、いきなり過ぎて顔が上げられない。



────…かぁぁっ…



体温の全てが顔に集中しているようで、どんどん頬が火照っていく。




「──…どうかした?」



「───あっ、いいえ!!


あの───…


私、一年の桜井彩といいます。



えっと………


わ、和太鼓部に入部したくて……」




そこから先はスタミナ切れ。




────ギュッ…


緊張のあまり声が出なくなって、震える手で入部届を差し出した。





「………ありがとう。」


 


────ドキッ!





「……い、いえ……

あの、よろしくお願いします……。」




「───…こちらこそ。」




高山さんはフワリと優しい笑顔で、本当に嬉しそうに入部届を受け取った。




……そんなに嬉しそうに受け取るなんて反則だよ……。




入部届渡しただけなのに、何かプレゼントを渡したみたいな気分になっちゃうよ───…。

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