DEAR 1st SEASON



「───……ん?」



高山さんが顔を上げ、その瞳と目が合った瞬間。




─────…ドキッ…



どうしたことか、心拍数急上昇。



……落ち着け、頑張れ。 



頑張ったら、番号ゲット出来ていつでも繋がれるんだから──……!





「……あのっ……!


よ、良かったらケータイの番号交換しませんか?」




「────…え、」





──…う、わ。


い、言った。


言ってしまった。





「……………」



か、顔が上げられない。

……どんな顔してるんだろう。



やっぱりいきなりすぎたかな。




もし……

もし困ってたら─…?



……嫌だ、やっぱり言わなきゃよかった。



返事返って来ない=困ってる、に違いない。




……最悪。


一刻も早くこの場から立ち去りたい──……!!!!




「……………」




───しばらく続いた沈黙の後。



涙目、半泣き、顔は不安に染まってぐっちゃぐちゃ。



………本気で回れ右して帰ろうかと思った時だった。





「───…もちろん。」




「─────…!」




────うそ!?!?


いいの!?!?!?


OK!?!?


反射的に顔が上がり、見るのが怖かった高山さんの顔を見ると。




「───…はい、どうぞ♪」



高山さんは全く困った様子もなく、にっこりと笑っている。





「───……」




大袈裟かもしれないけど

“泣きそう”、だった。




「───…あ、ありがとうございますっ…!!」



「いいよいいよ。

あ、これ俺のね。」




────…ポンッ。





「………わ……」



手渡されたケータイ。



そこには、念願の高山さんの番号とメルアドが───……。



………うわ、感動。



やばいよ。



笑顔隠すなんて器用な事、今までしたことないから出来ないよ……。



高山さんの手の温かさがケータイからほのかに伝わる。




0、9、0………


────…ピッピッピッ…


高山さんの番号を1つ1つ、丁寧にケータイに登録する。




絶対、打ち間違えたりなんてニアミスしないように。





……そんなあたしの手は、ただ嬉しくて嬉しくて震えていた。
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