DEAR 1st SEASON
───【高山さん、登録完了しました】───
………うわぁぁぁ……。
つ、ついにマイケータイに高山さんのメモリが……!
ギャー!!
どうしよう!
心臓ヤバいよヤバい!!!!
「───あ。
そういや、桜井さんの番号は?」
「……えっ……」
───ドキッ…!
高山さんが無邪気に覗いてくるのをキッカケに、ドキリと心臓が飛び跳ねた。
「──…あっ!!これです…!」
自分のケータイが高山さんに握られているだけで、何だか嬉しくて。
……登録……してくれるんだぁ……。
さりげなくケータイを操作する高山さんに見とれる事数分。
「───桜井さんって、下の名前“彩”って言うんだね。」
「はい!!」
「桜井さんにぴったりだね?」
「───……へ……」
「可愛い名前だよ?
桜井さんに似合ってる。」
─────…!
かっ……可愛い………?
「────…、」
ふっと笑う高山さんに、たちまち顔が赤くなっていくのが分かった。
「──…あの、この名前お母さんが付けてくれたんです。
私も自分でこの漢字は気に入ってて──……」
「そうなんだ?
お母さん、ナイスネーミングだね♪」
……自慢じゃないけど、名前ではよく褒められる。
自分でも“彩”って名前はお気に入りだ。
───…それなのに。
高山さんに褒められたりなんかすると、ますます調子に乗って自分の名前が好きになる。
……お母さん、マジでナイスネーミングだと思う。
「じゃ、お疲れさん!」
高山さんが爽やかにそう挨拶をしてあたしに微笑み、部室を後にした。
「………」
───…自分のケータイで、にやける顔を少し隠す。
……メルアドと番号交換しちゃった。
しちゃったよ………
「───…へへっ…」
登録された高山さんの文字を見つめてはニヤニヤする自分がやたら気持ち悪い。
でも嬉しいんだから仕方ない。
───…なんて。
案の定、数日はケータイを見てニヤニヤする日々が続いた。