DEAR 1st SEASON




───…あたしが……



高山さんを好き?




……うん。



確かに“好き”は好き。


それは否定しないよ。



好感ありありだし、それはハッキリ分かってる事だもの。



……けど───…


けど、ね?




それは“人”としてなのか。


はたまた“憧れ”なのか───…。


出会って間もないし。


間もないけど、恋に落ちるのは一瞬だという説もある。



──…けれど……


今のあたしには、ハッキリとした答えは出て来なかった。




「…………」


するとナナは、黙りこくっているあたしを見て腕組みをし




「───彩に質問でーす♪」



「え?」



突発的に、明るいナナの声が頭上に響く。





「高山さんにわざわざ連絡先聞いたのは何の為?」



「……………」



「自分から聞いたって事は、少なくとも彩が好意を持ってるからでしょ?


───…多分ね?

キツイかもだけど、ナナはこのままいくら彩が待ってても……

高山さんから連絡は来ないと思うなぁ……。」





─────うっ……。



……明らかにまともな意見、だ。


……そうだよね……。


このままいくら待ってたって………


高山さんからあたしに連絡なんて来ることないだろう……な……。



ショボンとうなだれるあたしに





「───あのねぇ、彩?

連絡先を聞く勇気があるなら、連絡する勇気も持っていいんだよ?」




何故か怒った口調で説教されてしまい……



「───…けど……」


だけど、自分から連絡だなんて。


一体、何を口実にしたらいいんだろう?


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