DEAR 1st SEASON


部屋に、聞きたくもない卑猥な音が聞こえる。




思わず耳を塞ぎたくなるような水音。




一体、どうなるんだろう──…。




怖い。



怖い


怖い


怖い。




「声出せって。」



冷たい命令に従うしか余地はない。



もしも逆らったりすれば──…。




「──…ふ…ぅ…」




その先を考えるのを無意識に拒否し、呻くように出る声。



自分が惨めで仕方なかった。



どうしたら涙が止まるのか、そんな方法があるのなら教えて欲しい。





「───足開け。」






────…もうダメだ…。





次の瞬間を考え、覚悟を決めようとした次の瞬間だった。





────ピンポーン…。





まるで救いの鐘のように、亮の家のインターホンが鳴った。
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