DEAR 1st SEASON
────ハァハァ─……。
どれだけ走ったんだろう。
どれだけの距離かさえも定かじゃない。
気づけば、とある公園に居た。
辺りは夕闇に覆われそうな、赤色一色で。
──…もう夕方…?
時間の感覚が今イチ分からない。
亮の家に行ったのは確かお昼過ぎだったはず─…。
逃げ出してから、かなり彷徨ったということだろうか。
事実、
あたしにはあれから記憶がハッキリとない。
夕焼けに染まる公園に、吸い込まれるように入っていく自分。
帰りたくなんてなかった。
気がつけば、逃げ続けた足には血が滲んでいて。
途中何回か転んだ為、
爪も剥がれていた。
───洗わなきゃ……。
ふらふらとトイレに入り、曇った鏡を見てギョッとした。
殴られ、パンパンに腫れきった顔─…。
鼻や口から血がうっすらと筋を作り、青くなった自分の顔。
原形なんかないんじゃないかってくらいだった。
変わり果てた自分の姿に更に涙が溢れる。
そこから見る自分の顔は、もっともっとグチャグチャで。
情けなくて、無様で。
「────……ふ………ぅ───…。」
水で顔を洗いながら、
声を押し殺して泣いた。