DEAR 1st SEASON



目を閉じても、開いても同じ暗闇が続く視界の中。


どちらにしても、
さっきの亮が頭にこびり付いて離れない。




あんな亮初めてだった。

人が変わったように暴力を振るう亮。


そして──…。


性欲の捌け口かの様に扱われた事─……。




………─いや─…!


───怖い!!!!

怖い、怖いよ!!


誰か助けて!!



突然発作のように恐怖が全身を煽る。



心臓が急にバクバクして、目眩が始まり…


最後には耳鳴りが起こってしまう。


そんな中、瞬時に頭に浮かんだのは高山さんの顔。


頭の中のあの優しい笑顔を思い出しただけで涙が溢れてくる。




高山さん──……。



気付けば、手にはしっかりと握られているケータイ。



そのディスプレイには、しっかりと高山さんの番号が表示されていた。




ただ、高山さんの声を聞きたかった。



ただ、本当にそれだけだったんだ。

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