DEAR 1st SEASON
【桜井さん?】
「…」
【どうしたの?】
───バカだ。
せっかく繋がったというのに。
せっかく声が聞けたというのに。
「…………」
返せる言葉が見つからない。
そんな緊迫した空気を和らげるかのように。
【……何かあった?】
耳に聞こえる確かな優しい音。
視界がグニャリ、
またグニャリと歪んでいく。
…ねぇ…
どうして何も言っていないのに分かるの─……?
SOSに気付いてくれるの─…?
「───…あの…」
勇気を振り絞って出した一声は、次の瞬間に掻き消される。
【ねー、誰と喋ってるの?】
──────!
聞き間違えなんかしない。
ハッキリ聞こえた。
高い高い女の人の声が。
──……え………?
今の声…
一体誰─……?