DEAR 1st SEASON
手首にカッターナイフを向ける。



──…それからの覚悟は意外に早かった。




誰も必要などしてくれていないんだ。


生きてても仕方ない存在なんだ─…。




“………あたしなんか死んでしまえ─…。”





────シュッ……!




静かな静かな音が体内に響く。




銀色の刃は、手首を見る見るうちに赤く染めていった。




手首から次々と溢れ出る鮮血。




こんな綺麗な赤があたしの体にあるなんて……。




───綺麗………。




痛みなんて感じない。



…恐ろしい事に、血を見るとやけに安心している自分がいた。




──そのまま。




目の前に広がる血に吸い込まれるように。




あたしは意識を深くなくした──…。
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