幼なじみの恋と恋愛小説の恋。
12話 支え合う心
12話 支え合う心
私は翔のお母さんから逃げるように、翔のお家に入ったのはちょっと、後悔しています。
私は、階段を登り、翔の部屋の前に着いた。
…手ぶらだった。話すだけはまずいかな?
でも、もしお菓子やジュースが欲しいなと思ったら、買いに行けばいいな…
――小さく深呼吸をした後、意を決して翔の部屋のドアを叩いた。
「翔………?来ちゃった…」
「…」
「いないの…?」
私には来て欲しくなかったのか、機嫌が悪いのか…
…閉じこもっているのか。
昔の様に、直ぐには出てこない。
でも、ほっといちゃいけない、よね…?
次の瞬間、扉が静かにこちらの方へ開き、
「――わっ!!!」
「ぅひぁっ!!?!」
私を驚かしてきた!?
「はははっ!引っかかったな〜」
「〜やめてよ〜!!」
私は翔の体をぽかぽか叩いた!
「あはは!」
翔はとっても楽しそうに笑っていた。
元気は、余りなさそうだったけど。
「ふふふっ……あ、入ってもいいけど、襲うかもしれないぞ?」
楽しそうに笑ったままだったけど、翔の声が少し真剣なトーンになった気がした。
「襲う?翔は私の物を盗みたいの?」
「……ちがう!?大変なことになるだろ!
ただ、男の、部屋にはぽんぽん入るなよって事だよ…」
「うん!翔以外の部屋には入らない!」
「はいはい…」
翔はちょっと呆れたような顔をしながら、私を部屋に入れてくれた。
「失礼します…」
翔の部屋に入って目についたのは、ベッドの上にある『林檎と心。』。
私が好きで、翔に似たキャラクターが居るものだ。
この話は、青春モノで、心の未熟な部分を描いていた。
翔に似たキャラクターは凛。主人公の弟だけど、
本当に可愛くて…主人公想いで。
翔みたいに可愛いなとか…
《似たキャラクターと本人は違う。》
春花ちゃんと、そんな話をしたからか、翔とは違うと、分かった気がする。
翔がなんで持っているのかは不思議。
しかも、何故ベッドの上?
翔を見ると瞳が少し、不安で揺れている。
私はゆっくりと口を開いた。
「翔」
「大丈夫だよ。」
「……」
「私はどんな翔も好きだから…」
精一杯の気持ちを込めて、私は安心させるように笑った。
翔の顔は下を向いて、髪で隠れているから見えない。
ー私には、翔の気持ちが、やっぱり分からなかった。
とにかく、『林檎と心。』を翔も知っているなら、
一緒にすれば、気分転換になるんじゃないかな…。翔の感想も聞きたいから。
『林檎と心。』のソフトを取ろうと翔のベッドに近づくと、くるっと視界が暗転し、翔に口を塞がれた。
何秒…キスをしていただろうか。脳が痺れて、甘い。
多分、私の顔は茹でたこのように真っ赤で、ぽーっとして、涙目で、人には見せられない様な顔をしているだろう。
「……ぇ」
その後、甘えるように翔は、私の腰に抱きついてくる。
おでこもお腹にぐりぐりしてくる…
「好き…好き、大好き。」
「本当は、大切に、守りたいのに。」
……????
私の頭の中は情報量でパンクしそうだった。
先ずは翔を落ち着かさないと…
優しく、翔を落ち着かせるように、頭を撫でる。
肩がプルプルし始めた。よ〜し…
昔からしてるみたいに、安心できるように、ぎゅーっとして、昔と同じ私の本心《嘘》を、優しく語り掛ける。
「私は翔を守る為ならなんでもする。
ずーっと大好きだよ。……たとえ、犯罪者になっても、翔を守るから。」
ふふっ。こんなセリフ、『林檎と心。』で主人公が弟にこんな事を言っていたのを思い出した…こんな気持ちだったんだ。
――幼い日を思い出す。
やんちゃで負けず嫌いな翔は、内気な私とは正反対だった。
私がいじめられて…いたら直ぐに翔が吹き飛ばす。
その弁護はいつも私がする。
もちろん、丸まらない時はあったけど、私が、色々…
出来ることは色々した。とても辛かった時もあったけど…
何故かと言うと、どんな子でも、翔は守りたい存在だから。
翔が嬉しかったら、私も嬉しかった。
ー――
「うぅ…」
ある日、私は耐えられなくて、翔の前で泣いてしまった。
「また虐められたの…?」
「違うよ!翔のせいだよ!
翔が何も考えないで行動するから!!」
「……!」
翔がここまで、傷ついた表情を見たのは、長い今までの中で初めてだった。
それ以来、話すのが気まずくなったんだった。
――
「……ごめん。」
翔は私から離れる。
「違う…」
翔が呟く。顔が見えない。
「傍ににいて、だけ言って?」
「守られるだけは、もう嫌だから。」
……傍に居る。それだけでいいの?
……そうだった。私は翔の気持ちを考えないで、ただ守ろうとしていただけだった。
翔は昔とは違う。子どもじゃない。
沢山翔に頼っていたって、昨日も、
私自身が言っていた。
私はもっと頼ってもいいんだ。
今度は私が、翔に突進するように抱きついてしまった。
翔はもう、大きくなっていた。
…って、なんでこんなに、親心…?
小さな頃、翔が自分勝手だと思ってとても辛かった。
私は、翔の両親では無いのに。
あの時は、両親に言えば翔の居場所が無くなると、
私だけが翔を守れると勘違いしていた。
翔の気持ちを考えていなかった。
「……ごめんなさい。翔の気持ちを考えてなかった。私は親じゃ無いのに、勝手に翔を自分勝手だと決めつけて、守ろうとして…」
こんな事を言ったら、もう関わってくれ無くなるだろうか。不安で小さな声がどんどん小さくなる。
今度は翔が私の頭を優しく撫でてくれた。
「今までずっと、ありがとう。美羽が守ってくれたのが……最近分かった。」
「美羽がそばに居てくれるだけで、もっと幸せ。」
その言葉の意味が分かった気がして。
「うぅっ…ぐすっ…」
「まもるのはやめて、頼るのもする…」
まるで逆転する様に甘える。
「よしよし……」
私が泣き止むまで、ずっとあやしてくれていた。
私は翔のお母さんから逃げるように、翔のお家に入ったのはちょっと、後悔しています。
私は、階段を登り、翔の部屋の前に着いた。
…手ぶらだった。話すだけはまずいかな?
でも、もしお菓子やジュースが欲しいなと思ったら、買いに行けばいいな…
――小さく深呼吸をした後、意を決して翔の部屋のドアを叩いた。
「翔………?来ちゃった…」
「…」
「いないの…?」
私には来て欲しくなかったのか、機嫌が悪いのか…
…閉じこもっているのか。
昔の様に、直ぐには出てこない。
でも、ほっといちゃいけない、よね…?
次の瞬間、扉が静かにこちらの方へ開き、
「――わっ!!!」
「ぅひぁっ!!?!」
私を驚かしてきた!?
「はははっ!引っかかったな〜」
「〜やめてよ〜!!」
私は翔の体をぽかぽか叩いた!
「あはは!」
翔はとっても楽しそうに笑っていた。
元気は、余りなさそうだったけど。
「ふふふっ……あ、入ってもいいけど、襲うかもしれないぞ?」
楽しそうに笑ったままだったけど、翔の声が少し真剣なトーンになった気がした。
「襲う?翔は私の物を盗みたいの?」
「……ちがう!?大変なことになるだろ!
ただ、男の、部屋にはぽんぽん入るなよって事だよ…」
「うん!翔以外の部屋には入らない!」
「はいはい…」
翔はちょっと呆れたような顔をしながら、私を部屋に入れてくれた。
「失礼します…」
翔の部屋に入って目についたのは、ベッドの上にある『林檎と心。』。
私が好きで、翔に似たキャラクターが居るものだ。
この話は、青春モノで、心の未熟な部分を描いていた。
翔に似たキャラクターは凛。主人公の弟だけど、
本当に可愛くて…主人公想いで。
翔みたいに可愛いなとか…
《似たキャラクターと本人は違う。》
春花ちゃんと、そんな話をしたからか、翔とは違うと、分かった気がする。
翔がなんで持っているのかは不思議。
しかも、何故ベッドの上?
翔を見ると瞳が少し、不安で揺れている。
私はゆっくりと口を開いた。
「翔」
「大丈夫だよ。」
「……」
「私はどんな翔も好きだから…」
精一杯の気持ちを込めて、私は安心させるように笑った。
翔の顔は下を向いて、髪で隠れているから見えない。
ー私には、翔の気持ちが、やっぱり分からなかった。
とにかく、『林檎と心。』を翔も知っているなら、
一緒にすれば、気分転換になるんじゃないかな…。翔の感想も聞きたいから。
『林檎と心。』のソフトを取ろうと翔のベッドに近づくと、くるっと視界が暗転し、翔に口を塞がれた。
何秒…キスをしていただろうか。脳が痺れて、甘い。
多分、私の顔は茹でたこのように真っ赤で、ぽーっとして、涙目で、人には見せられない様な顔をしているだろう。
「……ぇ」
その後、甘えるように翔は、私の腰に抱きついてくる。
おでこもお腹にぐりぐりしてくる…
「好き…好き、大好き。」
「本当は、大切に、守りたいのに。」
……????
私の頭の中は情報量でパンクしそうだった。
先ずは翔を落ち着かさないと…
優しく、翔を落ち着かせるように、頭を撫でる。
肩がプルプルし始めた。よ〜し…
昔からしてるみたいに、安心できるように、ぎゅーっとして、昔と同じ私の本心《嘘》を、優しく語り掛ける。
「私は翔を守る為ならなんでもする。
ずーっと大好きだよ。……たとえ、犯罪者になっても、翔を守るから。」
ふふっ。こんなセリフ、『林檎と心。』で主人公が弟にこんな事を言っていたのを思い出した…こんな気持ちだったんだ。
――幼い日を思い出す。
やんちゃで負けず嫌いな翔は、内気な私とは正反対だった。
私がいじめられて…いたら直ぐに翔が吹き飛ばす。
その弁護はいつも私がする。
もちろん、丸まらない時はあったけど、私が、色々…
出来ることは色々した。とても辛かった時もあったけど…
何故かと言うと、どんな子でも、翔は守りたい存在だから。
翔が嬉しかったら、私も嬉しかった。
ー――
「うぅ…」
ある日、私は耐えられなくて、翔の前で泣いてしまった。
「また虐められたの…?」
「違うよ!翔のせいだよ!
翔が何も考えないで行動するから!!」
「……!」
翔がここまで、傷ついた表情を見たのは、長い今までの中で初めてだった。
それ以来、話すのが気まずくなったんだった。
――
「……ごめん。」
翔は私から離れる。
「違う…」
翔が呟く。顔が見えない。
「傍ににいて、だけ言って?」
「守られるだけは、もう嫌だから。」
……傍に居る。それだけでいいの?
……そうだった。私は翔の気持ちを考えないで、ただ守ろうとしていただけだった。
翔は昔とは違う。子どもじゃない。
沢山翔に頼っていたって、昨日も、
私自身が言っていた。
私はもっと頼ってもいいんだ。
今度は私が、翔に突進するように抱きついてしまった。
翔はもう、大きくなっていた。
…って、なんでこんなに、親心…?
小さな頃、翔が自分勝手だと思ってとても辛かった。
私は、翔の両親では無いのに。
あの時は、両親に言えば翔の居場所が無くなると、
私だけが翔を守れると勘違いしていた。
翔の気持ちを考えていなかった。
「……ごめんなさい。翔の気持ちを考えてなかった。私は親じゃ無いのに、勝手に翔を自分勝手だと決めつけて、守ろうとして…」
こんな事を言ったら、もう関わってくれ無くなるだろうか。不安で小さな声がどんどん小さくなる。
今度は翔が私の頭を優しく撫でてくれた。
「今までずっと、ありがとう。美羽が守ってくれたのが……最近分かった。」
「美羽がそばに居てくれるだけで、もっと幸せ。」
その言葉の意味が分かった気がして。
「うぅっ…ぐすっ…」
「まもるのはやめて、頼るのもする…」
まるで逆転する様に甘える。
「よしよし……」
私が泣き止むまで、ずっとあやしてくれていた。