幼なじみの恋と恋愛小説の恋。

13話 以外な行動。


  私と翔が、翔の部屋で色々話した後。

  翔のお母さんが、作ってくれた夕食を皆んなで食べながら、話を聞いてくれた。

 帰りが遅くなることも、私の両親に話してくれたみたい。
 
 昔、あったことも、私と翔の噂のことも、全部話した。

 翔のお母さんは私達を優しく抱きしめてくれて。
 
 心がふわっと軽くなった気がした。

 私が帰るとき、私は口を開いた。

 「私ね、翔を頼りにしてるよ…!」

 「だから、頼るだけはできないけど、守るだけはやめる。そばに居てほしいから!」

 私は笑顔を作った。偽りのない笑顔。
 翔はまだ、不安そうだったが、優しい笑顔で小指を出してくる。

 「……こんな俺だけど、一緒にいたい。」

 「…うん!」

 じゃあ、
 「また明日。」

 「また、明日!」

 2人の気まずさはここで終わり。

 

 12月12日。

 ……翔が学校に来なくなった。

 ふと、こんな噂も耳に入ってきた。
 
 「翔も、優芽も休みだな…」

 「付き合ってるって噂…あっ、でも…」

 噂と言う言葉が出た時点できっと軽く睨んでしまった。

 昨日から2人は来なくなった。…おかしい。
 

 「一緒に何処かに行ったって線はあるね。」

 私は、その言葉と同じ事を考えていた。

 その時、私のスマホが小さく震えた。
 送信相手は翔のお母さん…

 私は休み時間だったから、スマホを取り出し
 メッセンジャーアプリ、『la pon 』を開くと

 《翔がいないの!知らないかしら?!》

 翔と優芽ちゃんがいない…なるほど…

 って、私、最近の放課後や休憩時間はよく忙しくしている気がする。…役に立ってる気はしないけど…

 でも、翔のそばに居る為だと思ったら、
 頑張れそうな気がした。

 《心当たりがあります。優芽ちゃんと翔が一緒に居る気がします》

 数秒して、翔のお母さんから返信が返ってきた。

 《私は、2人や優芽ちゃん…が危ない目に合わない為に協力したいな。信じてくれる?》

 《わかりました。頼りますね…!》
 私は初めて、大人の人を頼った気がした。

 
 ――――

 翔は目を開ける。
 美羽と『そばに居るだけの約束』をして、それから…
 ここは…?

 「……っ」
 頭が痛くて、体が重い。
 ぼーとする。

 こつこつと靴音がした。誰かが俺のそばにやって来る気がした。
 

 「ずっと一緒だよ?」

 ……ずっと一緒。美羽…?

 いつもと違う場所で寝ている…?

 何も考えられない。
 でも、『ずっと一緒』の言葉がとても嬉しかった。
 この空間は暖かい。

 俺の意識は、途切れた。
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