幼なじみの恋と恋愛小説の恋。

2話 図書館にて。

  私は休み時間になると、たまに、図書室に行く。

 友達との約束があるから、借りるだけだけど、本、
 5冊借りていこうかな。
 
  本のラインナップは恋愛感動もの、恋愛心理。
  きゅんとできて、感動するのが好きだから。

 現実の恋愛の勉強もしてみたいし…

 
 と、後ろを振り向いたら、

 「その本好きなのか?」
 ………翔。

 逃げようと思ったけど、不貞腐れた様な表情が可愛くて、私の耳元に顔があってこちら覗き込んでいる。

  心臓はばくばく。

 「ま、どっちでもいいし!」
 ばっと私から体を離す。

  きっと翔も恥ずかしかったのかもしれない。
  …顔が赤い。

 ちょっと、どきどき返して、とも思わなくもなかったけど。



 ふと、手元に持った本を見て私が、凍りついてしまう。

 翔も年頃の男の子。からかわれるかもしれない…
 考えがぐるぐるする。

 「…俺は引いたりしない。むしろよく読む。」

 ?翔がなぜ。
 
 「美羽も、俺が読んでいても引かないだろ。たぶん…」
 
 「引く……」

 多分皆そう思うんじゃないかと思い、そう言ってみたら、 

 「そ、それは、傷つく……」

 翔は眉を下げてしょんぼりした…可愛い。

 そして、私の気持ちが分かったのか、言葉を続けた。

 「俺は引かない。美羽らしくていいよ。」
 優しい笑顔で、言う。

  私らしいって
  
 名前を呼ばれてまた、顔がほてってきた。
 それに、この気持ちは

 「〜!」
 「で、その本は…」

 わたしは駆け出していた。

 どうすればいいのか、とか恥ずかしさで限界だった。

 「逃げられたな…でも、最初の作戦は上手くいった、よな?」

 最初の作戦とは、美羽とどうにかして話すことと、
 ……俺を、意識してもらう事。

 
 ポケットから取り出して検索画面を見ると、
 彼女の好きな、キャラクターを沢山調べていた。

 恋愛小説が好きな美羽と話すきっかけになればいいと思ったからだった。
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