幼なじみの恋と恋愛小説の恋。

7話 不安。

  優芽ちゃんの居る一年三組に着くと、優芽ちゃんは居なかった。
 校舎裏に行ったそうだ。

 「……デジャヴ…?」
 「美羽ちゃん?」

 私はぱっと振り向き

 「春花ちゃん、私昨日、校舎裏で告白されたよ。
 桐島優希くんに!」
 
 「…え…!?桐島優希くんは…誰?
 なんで言わなかったの?ど、どう返したの?」

 「恋なんて分からない、もっといい人がいるって…」

 「それは…」
 「うん…?」

 「きっと、その人は美羽ちゃんだから、告白したんだと思うよ。」

 「……そっか。そうだったんだ…
 ありがとう。春花ちゃん。
 でも…あの人は違う気がした。」

 「み、美羽ちゃん…?」

 告白してくれた桐島くんの様子を思い出すと、何かを隠していた気がした。 

 でも今は、優芽ちゃんと翔の事…
 私は急がないといけなくて、走る速度を上げた。

 「美羽ちゃん、早いよ〜」

 私はぴたりと足を止めた。
 ふと、また考えがよぎったから。

 「別に、無理に春花ちゃんは、ついてこなくてもいいんだよ…?」

 それに、春花ちゃんは
 「いいんだよ?私たち親友でしょ…?」

 「……うん!」


 「……大丈夫?美羽ちゃん?」
 
 「だ、大丈夫!ありがとう…!」
 
 急いで校舎裏に向かう足を速めた。
 
 でも、足元がふらつく。昨日の噂のことが頭の中でぐるぐるしている。
 翔と優芽ちゃんの顔が浮かぶたび、胸が締めつけられる。

 私は、どうしてこんなに不安なんだろう?

 校舎裏へ向かう道を走りながら考える。

 ー優芽ちゃんのことをどうするべきなんだろう?

 
 「……行かなくちゃ。」

 それが後悔しないために必要なことだと思っていた。
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