無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


答えは、決まっている。



すぐに声をかけたいものの、私は声をかけられずにいた。




だって……。



目の前で頭を下げている男の人のことを見やるけれど、全然知らないし、見覚えがない。



この人は、なんて名前なのだろうか。



顔が見えないから、分からないだけかな?




「あ、あの」




意を決して声をかけてみる。




「顔、あげてください……!」




私に促されて、彼はゆっくりと顔をあげた。





……え。えっ?



顔を上げた彼は……。



なんと、端正な顔立ちの男の人だったのだ。



それこそ、染野くんと同じくらい……。




って、わわっ!!



< 2 / 151 >

この作品をシェア

pagetop