無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
ぽんぽん、と琴葉ちゃんの頭をなでると、琴葉ちゃんは照れくさそうにふっと笑った。
「琴葉ちゃん、もう時間ないよっ!
急いでご飯、食べようっ」
それからは、残りのお弁当を食べながら、二人で他愛ない話をして、お昼休みを過ごした。
「朝倉さんって、あんな子だったんだ……」
「中身も可愛くね?
最高じゃん、俺狙っちゃおうかな」
「おい、ダメに決まってるだろ。
朝倉さん、さっき羽柴先輩に告白されたばかりだぞ」
「うわー、羽柴先輩がライバルになるとかきつ」
「なに、ほれちゃった?」
「……うるさい」
クラスの男の子たちが、そんな会話を繰り広げているとは知らずに。
染野くんはただ、1人頬づえをつきながら、窓の外を眺めていた。