無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
2.彼と先輩
*
『俺、朝倉のこと大っ嫌いなの』
今日のお昼休みの、染野くんの言葉を唐突に思い出す。
思わず、小さくため息をもらしてしまった。
学校帰り、電車に揺られながら窓の外を見つめる。
ちなみに私は、ドアの近くに立ち、そばにある手すりに捕まっている。
どうしてこんなことになっちゃったのかなぁ……。
思っても意味の無いことを考えてしまう。
いや、正確に言えば私が悪い。
私が、染野くんの好みに反する人だったって、
染野くんにとって、私が気に入らない存在だったって、それだけの話。
そんな当時のことを、私はぼんやりと思い出していた。