無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
それと、琴葉ちゃんは極度のツンデレ。
私が今「大好き」と口にしたら、顔を真っ赤にして、調子をくずしている。
……本当に、可愛すぎるんだ、琴葉ちゃんは。
私よりも、断然琴葉ちゃんの方が可愛いはずだ。
「と、とにかくっ。
話したかったら、私に話してよねっ」
「うんっ、ありがとう!」
さっきまで落ち込んでたのが嘘みたいに元気になってきた。
やっぱり、琴葉ちゃんといるのは楽しい。
なんて思いながら、ふと視線を一樹くんの方に向けてみる。
すると、驚くほどに目がぱっちりと合って。
「……っ!」
心臓がとくんっ、と跳ねる。
だけどそれもつかの間、すぐに目をそらされてしまった。
あ……。
どうしてだろう。
ふと、そんなことを考える。
つい数か月前までは、一樹くんにこんなふうに目をそらされても、嫌いだと言われても、仕方がないで済ませることができていたのに。
傷つくことなんて、慣れてしまってほとんどなかったはずなのに。