無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
君の過去





──ピンポーン


あれから一週間くらいが経った夕方。


夜ご飯を作りながら一樹くんの帰宅を待っていると、インターホンの音が鳴った。


……そろそろ一樹くんが帰ってくる時間だ。


どうしたんだろう……。鍵を持っていくのを忘れたりしたのかな。


こんな時間にお客さんが来ることもないし、多分一樹くんだよね。


料理をしていた手を止めて、私は玄関へと向かう。


そして、そっと扉を開けた。



「一樹くん……? おかえりなさい…っ」



彼に向かってそう言うと、急に強い力で腕を掴まれて。



「……っへ」

「……やっぱり。朝倉玲奈じゃん」

「え……?」



……この声、一樹くんのものじゃない。


それに、一樹くんはこんな強引に腕を掴んだりなんか……っ。


目の前にいるのは、一樹くんじゃない……?


はっとして、勢いよく顔を上げる。


そこには、同じ春桜学園の制服を身にまとった、知らない男の人がいて。


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