無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


それでいて少し天然なところとか、自分の良さに気付いていないところとか。


なんとなく朝倉さんを見ていると、彼女の意外な性格が見つかったりして。

いつだったか、朝倉さんが友達に「顔も中身も可愛い~っ!」と頭をなでられていたときは、心底驚いたような顔をしていた。
この人は、自分のことをきっと低く見ているのだろう。

そう思うと、朝倉さんに自分の良さを知ってほしくて仕方がなくなった。

僕がその良さを引き出してあげたい。その白い肌を赤く染めてみたい。
そして……、朝倉さんと話してみたい。彼女のことを知りたい。


そんな想いに胸を膨らませる日が続いていた。


朝倉さんと関わることがほとんどなかったそのときから……、僕は、彼女に惹かれていたんだ。


そんな二年生も終わりが近づいた一月の中旬。


もう二年生が終わってしまう、どうやって朝倉さんと話そうか。
そんなことを頭で考えめぐらしながら、ホームを歩いていたときだった。


< 429 / 486 >

この作品をシェア

pagetop