無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
そっか、お弁当を取りにいかなくちゃ……!
颯太先輩を待たせないように、急いでお弁当を取りに行く。
「すみません、先輩。
行きましょうか」
琴葉ちゃんも戻ってきたタイミングで、私はそう声をかける。
「大丈夫だよ。行こっか」
先輩に促されるまま、私たちは屋上の階段へと向かっていく。
そういえば先輩、ずっとお弁当箱もってたなぁ……。
最初から、これが目的で来たのかなぁ。
屋上では、先輩に変にからかわれることもなく、穏やかな時間を過ごした。
「朝倉さんの照れ顔やばくない?」
「それな、可愛すぎ……」
「あんなの、惚れない男いないだろ……」
教室のドアのそばで、颯太先輩に可愛いだのと言われ、赤面している私のことを、どうやらクラスメイトたちには見られてしまっていたみたい。
私がそれに気づくことは、きっとないと思いますが……。