ギャルゲー転生 〜兄妹タッグで恋の成就!〜
「じゃ、上がってよ」
「ありがと、健人くん」
「早く早く〜、マフィン食べた〜い!」
「大丈夫だよ、瑞希ちゃん。マフィンは逃げないよ」
「早く食べたいの〜!」
「可愛いなぁ、瑞希ちゃんは」

 紗夜ちゃんが私の頭をなで、春樹くんは言葉少なに私の手をそっと握った。

「大丈夫だよ、みーちゃん。逃げないよ」
「うん。そうだね」

 幼児って気軽に手をつなぐよね。ま、公園まで保育園で行くこともよくあるし隣の子と手をつないで二列で歩くのが基本だから、手つなぎは日常的だ。

 ……自分の手もだけど、どうしてこんなに小さい子供の手はあったかいのだろう。

 ◆

「それで、どうしたのかな。瑞希ちゃん」

 マフィンも食べ、ついでに料理好きな男はポイント高いからと兄貴につくらせたチーズケーキもふるまった。幼児の手先は不器用だ。私はお菓子本を見ながら指南だけしていた。土台のクッキー生地を砕くのを手伝ったくらいだ。

 今は女の子だけの話がしたいのと言って、紗夜ちゃんだけを別室に連れてきたところだ。

「あのね、えっと……にぃにのこと、どう思ってるのかなって」
「え、ええ!?」

 あわあわしている。本当に可愛いなぁ、紗夜ちゃん。

「にぃにね、紗夜おねーちゃんのために頑張ってケーキ作ってたの」
「うん。すごく美味しかったよ。瑞希ちゃんも手伝ったんだよね、えらかったね」
「最近、にぃに、少しおかしいでしょう?」
「え、えっと……」

 私が兄貴を兄貴だと気づいたんだ。紗夜ちゃんが違和感に気づかないわけがない。
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