ギャルゲー転生 〜兄妹タッグで恋の成就!〜
「人ってね、読んでる本とかいろんなことに影響されて変わっていくと思うの。にぃにはなんだか反省したみたいで、ちょっと大人しくなったと思うの」
「あー……、うん。そうだね。難しい言葉、知ってるね」

 ゲームの中のイベントでは、気安いこの幼馴染に対してそっと背後から忍び寄りメジャーでバストの大きさを測ろうとするなんてアホアホなイベントもあった。兄貴がそんな大それたこと、できるわけがない。

「つまんない人になったなぁって、にぃにのこと思わないか心配で」
「あはは、大丈夫だよ。少し変わったのかなと思ったけど、大好きな健人くんの……あ。えへへ、内緒ね。そのままだよ」

 大好きって言った!
 じわっと涙が滲む。

 もう! 兄貴のことなんてそんなに心配してるわけじゃないのに!

 よかった、まだ大丈夫だ。望みはある。このまま恋人になるまでもっていける望みが!

「分かった。ありがと、紗夜おねーちゃん」
「うん」

 よしよしと、穏やかな笑顔で頭をなでられる。甘えたくなる優しさだ。私も紗夜ちゃんの等身大枕がほし……危ない危ない。変な世界に入るところだった。

「それじゃ、次ははるくんと二階で隠れんぼする!」

 兄貴と紗夜ちゃんを二人きりにさせてあげないと。

「うん。瑞希ちゃん、はるとずっと仲よくしてくれると嬉しいな」
「もちろん! はるくん好きだもん」

 幼児の好きなんてどうせ本気にしないでしょと思いながら、リビングへと戻って春樹くんを連れて二階へと向かった。
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