ギャルゲー転生 〜兄妹タッグで恋の成就!〜

②兄から見た世界

 あいつも大変だよな。俺と違って幼児だからな。正直、幼児の群れの中に入って上手くやる自信は俺にはない。

「瑞希ちゃん、可愛かったなぁ。健人くんのこと、大好きだね」

 紗夜ちゃんが二階へ向かう二人を見ながら椅子に座った。

 二階か……大丈夫かな。あいつは、あまり周りを見ないからな。しかも今は幼児だ。バランスがとりにくいと言っていた。

「階段落ちないか、ちょっと後ろつけてくる」
「健人くんも、瑞希ちゃんが大好きだね」

 どうかな。
 ま、嫌いではない。
 
 心配の対象ではある。あいつは前世でもぴったりと後ろをつけている男にまったく気づかない奴だからな。当然見つけてすぐに追い払ったが……隙がありすぎる。ここでは歳が離れすぎていて学校はノータッチになるし、はるくんがあいつを好きで見守ってくれるなら心強い。今のままでは頼りないが、きっといい男になるはずだ。……あのスチルを見る限り。

 今も気が合うようではある。こっちでの母親が言っていた。「保育園の先生がね、瑞希とはるくん、よく園庭に張り出したテラスに二人で腰掛けて、まるで老後のように穏やかに周りを眺めていると言ってたわ」と。

 ま、はるくんは大人しいタイプなんだろうな。園でもほっとできる時間があるなら、少しは安心だ。

「よし、無事に二階に上がったな」
「ふふっ、いいお兄ちゃん」
「茶化すなよ」
「本当のことだよ〜」

 リビングへとまた戻る。

 互いに両親は土曜も仕事だ。保育園にあいつだけは任せるという手もあるが、俺がいるし大丈夫だと世話を請け負った。……世話なんてする必要ないしな。あの精神年齢で保育園生活はきっと辛い。

「瑞希ちゃんね、心配していたの。最近の健人くん、少し変わっちゃったけどガッカリしてないかって」
「あー……」

 あいつ、そんなことを聞いてくれていたのか。そうだな、確かに不信に感じているかもしれない。

 やっぱり、いい妹だな!
 これからも守ってやらねーと。

 それで……。

 紗夜ちゃんの表情をうかがう。ガッカリされている可能性は……。
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