ギャルゲー転生 〜兄妹タッグで恋の成就!〜
「だから、大丈夫だよって答えたの」
「だ、大丈夫……」

 大丈夫ってなんだ?
 大丈夫ってことか!?
 いや、何が大丈夫なんだ!

「少し変わったのかなと思ってはいたんだけど、瑞希ちゃんを見る目、何も変わってないもん」

 あー……主人公、結構なシスコンだったな……って、俺はシスコンじゃねーぞ!?

「見守ってあげてる」
「あ、ああ」

 なんだ、そういうことか。

「そんな目をする健人くんが好きなんだ」

 ぬぁ!?
 俺のことを!?
 いや、目か! 俺の目だけが!?

「だから、今度そこの小学校でやる盆踊りに四人で一緒に行かない? もちろんご両親がいいって言ったらだけど」
「い、行く!」

 は、即答しちまった。
 胸がバクバクしてきた。もしかしてこれはかなりの脈あり……!

「ありがと! はるもね、瑞希ちゃんがいると『もう帰る』とか言わないし迷惑かけないかなって」
「いや、子供は迷惑をかけるもんだからな。ちゃんとそれ用に準備しないとな」

 小さい子供は結構好きだ。小学生の頃は子供会で低学年の世話を焼くのも可愛くて好きだったし、中学の頃は授業の職場体験に必ず近所の保育園を選んでいた。

 あいつは幼児なのに幼児じゃねーが……。

 まずは出かける前にトイレの確認だな。あいつが言っていた。「幼児の体、やばい。もよおしたらすぐ出る」と。あの精神年齢でおもらしは絶対に精神的打撃が大きいはずだ。あいつが気がつきにくい部分は俺がフォローしないと。

 ――盆踊りか。

 屋台もある。土曜開催だから両親は仕事だ。俺たちの転生前は、間に合えば夜のお楽しみ抽選会だけ参加していたようだ。記憶だけは引き継いでいる。その時間には屋台はもうやっていない。

 あいつ、たません好きだったな!

「あいつら喜ぶぞ! ちょっと声かけてくるよ」
「え、ご両親の許可は……」
「どうにかする!」

 廊下へ向かう俺に、背後からぼそっと小さな声が聞こえた。

「やっぱり、好きだなぁ」

 つい、振り返る。
 驚いたように目を丸くして少し顔を赤くしてはにかんだように笑う紗夜ちゃん。

 手をひらひらさせているけど、そんな言葉を聞いて踵を返せるわけがないだろう?

「俺は、大好きだ!」

 気づいたら、そう叫んでいた。
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop