昭和の団塊親父が2026年の時代の課長として蘇ってきた

社内恋愛指導

社内恋愛指導

渡辺忠雄AI課長は、昭和流の情熱を武器に業務改善だけでなく、なんと“社内恋愛の取り締まり”にも首を突っ込み始めた。
その背景には「職場恋愛は仕事への熱意を低下させる!」という、昭和流の鉄則があった。しかし、2026年の現代、恋愛事情も価値観も大きく変わっている。社員たちとの対立と意外な展開が巻き起こる。
企画部の山本悠馬(26歳)と広告部の佐伯莉央(21歳)は、頻繁に顔を合わせるうちに互いを意識するようになっていた。そんな二人の様子を見逃さなかったのが、忠雄AIだった。
「おい山本!佐伯、お前ら!最近やたらと部署をまたいだ打ち合わせが多いようだが、まさか“職場の倫理”を忘れているんじゃないだろうな?」
唐突に声をかけられ、二人は顔を見合わせた。
「別に恋愛してるわけじゃありませんけど?」と莉央が言うと、忠雄はズイッと前に出てきて言い放つ。
「いいか、職場恋愛は危険だ!周囲の士気を下げるだけでなく、仕事の効率を大きく落とすんだぞ!」
「そんなの、今時誰も気にしませんよ。時代遅れですね」と莉央はピシャリ。
「時代遅れだと?俺の時代にはな、恋愛は“プライベート”でやるもんだったんだ!」
山本は思わず苦笑しながら、「まあ、確かにそれはそれで一理あるかもしれませんけど……」と忠雄をなだめた。そんな中、忠雄AIが次に目を付けたのは、20歳のインターン立花連と、34歳のリーダー徳山裕美のやり取りだった。
仕事の指導を通じて、連は裕美に憧れを抱き始め、裕美も彼の純粋さに心を動かされているようだった。
「徳山、お前の目は完全に“母性”の目になっているぞ!立花、お前もだ!まるで子犬のような顔をしている!」
突然の忠雄AIの発言に、二人は慌てて否定した。
「そ、そんなことありません!ただの指導です!」
「そうです!尊敬してるだけで……!」
忠雄は腕を組み、深いため息をついた。
「わかった、あえて言わせてもらおう。恋愛に走る暇があったら仕事に全力を注げ。それが社会人の本分だ!」
しかし、その言葉に徳山が反論した。
「課長、昭和の時代とは違って、今は恋愛や人間関係が仕事のモチベーションに繋がることもあるんです。」
忠雄はその言葉に少し考え込み、「時代も変わったもんだな……」とつぶやいた。忠雄AIの厳しい態度に対し、社員たちは次第に反発を覚える。
「課長って、人の気持ちがわからないんですか?」と莉央が怒る一方、悠馬が意外な提案をする。
「課長、恋愛がダメだって言うなら、課長自身も一度“恋愛”を経験してみたらどうです?」
突然の提案に忠雄AIはフリーズ。
「俺が……恋愛だと?」その後、社員たちは「忠雄AIに恋愛を学ばせる」という新たなプロジェクトをスタートさせることに。
社内恋愛を禁じていた課長が、恋愛の良さや葛藤を理解することで、彼自身の価値観も変化していく。
果たして忠雄AIは、恋愛を通じて何を学ぶのか──そして、社員たちはこの課長をどう受け入れるのか?
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