苦手な上司にプロポーズすることになりました
失礼します、と佑茉が社長室に入ると、社長の柳盛和市が窓際に立っていた。
デザイナーに入ってもらって、今風お洒落な社長室になっている。
ガラス張りで見通しよく意見も通りやすい雰囲気を醸し出しているが。
まあ、雰囲気だけだよな、と佑茉は思っていた。
和市は、眼光鋭い商店のおっさん、という感じの容姿だが、立派なものを身につけているので、それなりの人物に見える。
「薬川佑茉くん。
君を見込んで頼みがある」
「はい、なんでしょう?」
「企画事業部の部長、赤荻くんと結婚してくれないか」
「……いや、なんでですか」