兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした



 アスールの実家の庭園は広い。色とりどりの花が咲き誇り、アスールとレティシアの目を楽しませてくれる。花たちの良い香りも漂い、レティシアは思わずうっとりとした。

「小さい頃もレティシアはよくここで花を見ながらうっとりしていたね」

 レティシアの様子を見て懐かしそうに微笑むアスール。レティシアはなんとなく恥ずかしくて目をそらすが、そういえば、とすぐにアスールへ視線を戻した。

「あの、私は今日縁談相手と顔合わせのはずだったのですが、私はなぜここに?おばぁさまが相手は団長だと言っていましたが、あれは一体……」

 応接室で言われたことが全くわからない。もしもそれが本当だとしたら、レティシアにとっては一大事であり、とても嬉しいことだ。だが、未だに信じられずもしも勘違いだとしたらあまりにもショックすぎる。

 ドキドキと高鳴る胸をおさえながら、レティシアはじっとアスールを見つめる。

 レティシアの視線をしっかりと受け止め、アスールは口を開いた。

「驚かせてしまって本当にすまない。俺もこんなことになるなんて思ってもみなかったんだ。……その前に、今日は寮母と団長としてではなく、昔のように話をしたいんだけど、いいかな?」

 レティシアの髪の毛にそっと触れ、耳に髪をかける。アスールに触れられた箇所がなんだかとても熱くて、レティシアは思わず顔を赤らめながら小さく頷いた。

「ありがとう。………どうして今回、こんなことになったのかは、全部俺が悪いんだ」
< 20 / 37 >

この作品をシェア

pagetop