人生詩集・青少年編

緑の館

僕を連れって行って欲しい、やさしい風の娘たちよ。
君たちがもっとも朗らかな声で笑うという、あの陽光(ひかり)あふれる緑の館へ。
そこに人はいない。愚かで傲慢な白豚どももいない。
そいつらの醜く、性質の悪いことと云ったら、まるでお話にならなくて、
イエローの僕をまったく人間あつかいしないんだ。
ただ爪はじきされ、差別されるだけの為に、僕はいま豚の国に居る。許せないのは…
僕がここに来てしまったということで、豚の豚たるを知らず、剰え僕は此奴らに憧れてさえいたんだ。
此奴らの国を訪れることを生き甲斐とし、もって未だ灰色の人生の、しかし未来における光明とさえしていた。
この無明、この愚かさを、いったい何と語れよう!
いますべてを知って、失って、ただ眩暈がするばかり…

どこへ行っても、どこで生きても、まわりの連中が僕にはみな豚に見える。
黄色豚、黒豚、白豚、etc豚。
だからもう、ここから逃れてあそこへ行こうなんて、考えるもせんなきことだ。人間がいる以上。

どこへ行っても、どこで生きても、僕は異邦人。
たぶん僕は、異星から来たか、でなければ魔界の者だ。
生まれてこのかた人を一度も好いたことがない。そのことゆえに僕は自分への理解ができる。
ただ他人の眼には僕は馬鹿と写るだろう。

だから、さあもういいだろう、やさしい風の娘達よ。
僕を拉致して、連れて行って欲しい。人のいない(絶対に!)、あの緑の館へ。

何と云っても僕はそこで(白豚のリーマの目を盗んで)
アリどもを殺してやりたいのだから…

          【緑の館リーマのイメージ from pixabay, by lisaleo】
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