人生詩集・青少年編
コブレンツ古城(3)
また目を覚ました。こんどは…?
ここは…病院の中だ。巨大な某大学付属病院の一室、四人部屋だ。時刻は夢同様真夜中。俺は入院していたんだったけ…。しかし驚いた。夢を二重、三重に見ていたのか。若い頃ヨーロッパを2年近くさすらった折りの、コブレンツ古城で実際に見た巨人と城兵の悪夢、それを40有余年後のいま、またもや同じものを見るとは…夢は時空を超えるというが、実に奇怪至極なことだ。
しかしなぜ、今…?
変わらないからだ。そしておそらくもう、時間がないからだ。
夢解きはもうとっくに出来ている。
あの巨人は俺で、城兵たちも…これもやはり俺自身だ。偽我と真我の表象、なさけない俺と超越した俺…。
巨人は巨大化した自縛の象徴だろう。もう長いこと俺は俺を孤独と臆病の檻の中に閉じ込めて来た。もう慣れっこになっていたし、そのほうが楽だった。
城兵らは、あの後きっと巨人を巷に放したのだ。貴様が来ないのなら巨人にあとを追わせてやるとばかり、アレを放ち、俺に憑かせたのだ。俺には見えないが、他人には何某か、その巨人を感じられるようにして。
考えてもみてくれ。あの図体だぜ。目立たないわけがなかろう?
普段に世間が俺を嘲るまいことか、その分けがようやくわかった。しょぼくれた、臆病なジャイアントなんて…笑止、笑止。
【40ン年後の今、俺がガンで入院している某大学附属病院】
ここは…病院の中だ。巨大な某大学付属病院の一室、四人部屋だ。時刻は夢同様真夜中。俺は入院していたんだったけ…。しかし驚いた。夢を二重、三重に見ていたのか。若い頃ヨーロッパを2年近くさすらった折りの、コブレンツ古城で実際に見た巨人と城兵の悪夢、それを40有余年後のいま、またもや同じものを見るとは…夢は時空を超えるというが、実に奇怪至極なことだ。
しかしなぜ、今…?
変わらないからだ。そしておそらくもう、時間がないからだ。
夢解きはもうとっくに出来ている。
あの巨人は俺で、城兵たちも…これもやはり俺自身だ。偽我と真我の表象、なさけない俺と超越した俺…。
巨人は巨大化した自縛の象徴だろう。もう長いこと俺は俺を孤独と臆病の檻の中に閉じ込めて来た。もう慣れっこになっていたし、そのほうが楽だった。
城兵らは、あの後きっと巨人を巷に放したのだ。貴様が来ないのなら巨人にあとを追わせてやるとばかり、アレを放ち、俺に憑かせたのだ。俺には見えないが、他人には何某か、その巨人を感じられるようにして。
考えてもみてくれ。あの図体だぜ。目立たないわけがなかろう?
普段に世間が俺を嘲るまいことか、その分けがようやくわかった。しょぼくれた、臆病なジャイアントなんて…笑止、笑止。
【40ン年後の今、俺がガンで入院している某大学附属病院】