人生詩集・青少年編

みなと

港だ、夜の。
風が頬に冷たい。停泊中の船の灯りが美しい。
波に照り映えてゆらゆら揺れるその様は、海に金色の帯をながしたようだ。
遠くからウインチの音が聞えてくる。人夫たちのかけ声も。

さても今
港は眠っている。
波の揺り籠にゆられ、夜の闇に包まれて。
俺も帰って寝ることとしよう。
波の音がいかに心地よくとも、潮の香がいかに芳しくとも、今は帰ることとしよう。
そして港よ、お前もそのまま眠り続けるがいい、
静かに…

だがもし、
太陽が天空の真ん真ん中に来、人々が薄地の服を纏うようになったら
港よ、甦れ!
すべての活気を取り戻せ!
その時俺は行く。
聖なる都パリへ、フランスへ。ランボーとなって!

                  【夜の港風景】
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