人生詩集・青少年編

何をむ悩ことがあろう、何を苦しむことがあろう。
お聞き、哀しき者よ。
いつの世にもお前と同じ様な若者がいた。毎夜海辺に来てはその者は私に問うた。

教えてくれ、海よ。人生の意義を。与えてくれ、生き甲斐を。
俺は絶望し、傷つきながらもひたすら生きて来た。
真理を得んがために!
ああ、だが人は死なねばならぬ。生とは何だ?死とは?人間とは?
神は存在するのか?海よ!

哀しき者よ、私は
寄せては返し、寄せては返す。寄せては返し、寄せては返す。
未来永劫、同じ業を繰り返すのだ。
むかし同じことを問うた若者も、生きて、老いて、今は私の中にいる。
この波の音にその者の声が聞こえないか?
今のお前の声と重ならないか?…

さばかりの戯れ事、痴れ事と、波の音に聞くまでは、
尽きぬ迷いに流離うがいい。
所詮お前も大海の一滴、私はお前、お前は私なのだ。

哀しき者よ、私は
寄せては返し、寄せては返す。寄せては返し、寄せては返す。

                  【夜の浜辺にて】
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