ただ、一面の青。
幸運な事に、青くんとは偶然にも同じクラス。
嬉しい反面少しやり辛さもある。
だって私は暇さえあれば彼を目で追ってしまうから。
気を付けていても、今もまた、青くんを見てしまう。
「見て、瀬戸あくびしてる。可愛い」
別のグループからそんな声。
瀬戸くんも同じクラスで、必然的にユナちゃんと麟太朗くんがここ集まるので、休み時間の人口密度が高い。
一目見ようと他学年も覗きに来るから、居心地の悪さに本当のクラスメイトが外へ追いやられがちだ。
「1年の頃はもっと凄かったよ。あの4人同じクラスだったとか、今考えたらありえない」
「ね、ヤバかったよね。他クラス全部霞んでたもん」
「クズのくせに」
「本当、なんであんなに人気あるんだか」
そういう彼女達の目にも羨望があるのを、本人達は気付いているんだろうか。
「お〜!菜乃花ちゃん、やっほ〜!」
唐突に私達を遮る明るい声。
休み時間毎にやってくる彼、麟太朗くんは私を見つけると律儀に挨拶をしてくれる。
彼は明るくて人当たりが良くて優しくて、そして、かなり空気が読めない。
「あ、こんにちは」
「菜乃花ちゃん暗っ!もっとハッピーに、リピートアフタミー!やっほ〜!」
「やっほう…」
こんなやり取りもきっと後で話のネタにされるのだろう。