ただ、一面の青。

幸運な事に、青くんとは偶然にも同じクラス。
嬉しい反面少しやり辛さもある。

だって私は暇さえあれば彼を目で追ってしまうから。

気を付けていても、今もまた、青くんを見てしまう。


「見て、瀬戸あくびしてる。可愛い」

別のグループからそんな声。

瀬戸くんも同じクラスで、必然的にユナちゃんと麟太朗くんがここ集まるので、休み時間の人口密度が高い。 

一目見ようと他学年も覗きに来るから、居心地の悪さに本当のクラスメイトが外へ追いやられがちだ。


「1年の頃はもっと凄かったよ。あの4人同じクラスだったとか、今考えたらありえない」
 
「ね、ヤバかったよね。他クラス全部霞んでたもん」

「クズのくせに」

「本当、なんであんなに人気あるんだか」

そういう彼女達の目にも羨望があるのを、本人達は気付いているんだろうか。



「お〜!菜乃花ちゃん、やっほ〜!」

唐突に私達を遮る明るい声。
休み時間毎にやってくる彼、麟太朗くんは私を見つけると律儀に挨拶をしてくれる。

彼は明るくて人当たりが良くて優しくて、そして、かなり空気が読めない。


「あ、こんにちは」

「菜乃花ちゃん暗っ!もっとハッピーに、リピートアフタミー!やっほ〜!」

「やっほう…」

こんなやり取りもきっと後で話のネタにされるのだろう。
< 11 / 37 >

この作品をシェア

pagetop