ただ、一面の青。

「でも、青く、、サクくん、嫌がるんじゃ…?」

「サクは嫌な事は嫌ってハッキリ言うタイプだから!」

そう言われてしまえば打つ手が無い。
確かに青くんは昔も物言いの強いタイプだった。


「えーっと、」

視線を彷徨わせていると、こっそりと袖を引っ張る友人。

表情を見なくても指先から伝わる有無をも言わせぬ圧は、私が「うん」と頷くのを期待している。

そして私はそれに抗う術を持たない。


バレないようにため息をついて「…じゃあ、お願いしても、、良いですか?」と小さく返事した。

「おっしゃ〜!楽しみにしててよ!」

「…ありがとうございます、麟太朗くん」

満足げな友人達が「楽しみだね〜」と喜ぶ輪の中で、ぎこちなく微笑んでおく。

「うん…楽しみ、です」



私も随分変わったと思う。前なら、何が何でも断っていた。


それでも、少しでも青くんの側に居たいと思う気持ちが、私を中途半端に揺らがせる。


側に居たい。離れたい。側に居たい。離れたい。

花占いのように一枚ずつ花弁を千切っていっても、結局最後は本音が優先される。

側に居たい。離れたい。

側に居たい。




——会えない時もずっと彼の幸福を願っていた。

それが突然、毎日青くんを見れるなんて幸せな状況になって、欲が出てしまう。
ただ願うだけじゃなく、私が青くんの幸福の一端になりたい、と。


それはただのエゴ。
彼はきっと毛の先ほども願ってない。


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