ただ、一面の青。

白縹






「ってか、サクまた彼女と別れたらしーよ」

「えっ!はや!最短じゃん?5日位?」

「いや、3日」

「完全にやり捨てじゃん、本当クズ〜でも憎めん」

「それな。あの顔面だから許される」


それは例の彼の事だろうか。
聞き耳を立てながら席につけば話題が移り変わったのが分かった。

「誰あの子」

「噂の転校生」

「え、こんな時期に?絶対訳ありでしょ」

「ってかあの子、知り合いらしいよ」

「誰と?」

「決まってんじゃん」

一呼吸おいて、秘密の言葉みたいに女生徒が声を顰めた。

「“サク達”と」

その響きが特別に強調されて聞こえたのは勘違いではない。



朝一で教員室に行き、軽く説明を受け、軽く自己紹介をして、軽く授業を受ければもうあっという間に昼休み。

9月の連休終わり。季節外れの転校生。
それだけでも注目の的になるのは必至だが、私をもっと有名にしたのは彼ら。


「おー!本当に植草さんじゃん!ってか菜乃花ちゃんって呼んでいい?」

「いきなり距離感バグってんぞ、リン」

「麟太朗〜、そんなぐいぐい行くからモテないんだよ?」

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