ただ、一面の青。
白縹
*
「ってか、サクまた彼女と別れたらしーよ」
「えっ!はや!最短じゃん?5日位?」
「いや、3日」
「完全にやり捨てじゃん、本当クズ〜でも憎めん」
「それな。あの顔面だから許される」
それは例の彼の事だろうか。
聞き耳を立てながら席につけば話題が移り変わったのが分かった。
「誰あの子」
「噂の転校生」
「え、こんな時期に?絶対訳ありでしょ」
「ってかあの子、知り合いらしいよ」
「誰と?」
「決まってんじゃん」
一呼吸おいて、秘密の言葉みたいに女生徒が声を顰めた。
「“サク達”と」
その響きが特別に強調されて聞こえたのは勘違いではない。
朝一で教員室に行き、軽く説明を受け、軽く自己紹介をして、軽く授業を受ければもうあっという間に昼休み。
9月の連休終わり。季節外れの転校生。
それだけでも注目の的になるのは必至だが、私をもっと有名にしたのは彼ら。
「おー!本当に植草さんじゃん!ってか菜乃花ちゃんって呼んでいい?」
「いきなり距離感バグってんぞ、リン」
「麟太朗〜、そんなぐいぐい行くからモテないんだよ?」