ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。

私が床に座り込んで泣いていると


ふわっと制服のジャケットをかけられた。


そして包み込むように、そっと、抱きしめられる。


「...大丈夫か」


何故か、あったかくて、心地良くて......安心する。


「なっ...っ...んでぇ...」

「...勘違いすんな。目の前で大泣きされたらこっちが困るからな」


いつも通り、口は悪い。


...だけど私を抱きしめる手は優しくて。


いつの間にか私は天野の背中に手を回してて、ぎゅっと彼のシャツを掴んでいた。


するとそれに応えるように、頭をぽんぽんと撫でられる。


「あんなに忠告したのに」

「ごめっ......んなさい......」


私を責めるような言葉なのに、嫌じゃなくて。


もうずっとこのまま、こうしていたいと思う自分がどこかにいた。



…天野のこと、好きじゃないはずなのに。
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