ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。
「──俺の言うこと聞かなかった罰。な?」
「...っ~~!」
「はっ...顔真っ赤になってるぞ。ゆでダコみたい」
「ひとこと余計!」
もう!と言ってぷいっと顔を逸らした。
それでもまだ心臓は大きく鼓動していて。
それを紛らわすように立ち上がった。
「ほ、ほんとありがと!あ、あとこれジャケット」
天野が貸してくれたものを返す。
「別に。......ひとりで帰れるか?」
「そんな子供じゃないし...!......でも、今日は本当に...ありがとう」
「ん」
...口数は少ないし、ぶっきらぼうだけど、返事は優しい。
今回のことで、私は天野が良い奴だということを認識した。
いじわるで一言余計な時もあるけれど、きっとそれは優しさの裏返しだ。
そう考えたらあることを思った。
…ツン王子じゃなくて、ツン“デレ“王子じゃない?
他の女子が言ってたことと今回のことを合わせてみた。
うん、そっちの方がぴったりかも。
なんて私は彼のことを思いながら、家に帰った。