ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。

噂では、金城は真面目で優しく、誰からも愛されるという完全無欠な男だと聞いたことがある。


だからか、彼はそんな気持ち悪い会話に好んで参加しないだろうと、勝手に思い込んでいた。


「僕も蒼井さん派かな。ああいう何も知らなさそうな子、めちゃくちゃにしてやりたい」


…は?何こいつ。


想像とはかけ離れた言葉が発せられた。


この時点で金城総一という男は、俺の中で最悪な生徒へと変わっていった。



蒼井…。


あの会話の中で一番ひどく言われていた女子生徒。


そういえば、俺の席の前の人だった気がする。


普段は窓を見つめてぼーっとしてるか、本を読んでるかのどちらかだから、誰がどこの席とかはあまり把握していない。


でも苗字が“あ“から始まっているから俺の前に違いない。


蒼井……どんなやつなんだろう。


俺は他の奴らが言っていた彼女のことが気になって仕方がなかった。
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