ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。
ある日の朝。
前の席で蒼井と友達の春園が話していた内容が耳に入った。
「ねぇ、なぎはクラスで誰がかっこいいとか好きとかある?」
「へっ?......え、えっとひとり...?」
「まじ?だれだれ!」
「あえっと...」
言うのを躊躇っている蒼井。
......もしかしてあいつとかじゃないよな。
脳内に不安がよぎる。
別に蒼井の好きなやつとか知ったこっちゃないけど、あいつだけはせめてやめて欲しいという気待ちがあった。
「き、金城くん...」
小さな声で恥ずかしそうにしながら言った。
...まじかよ。
丁度、俺がやめて欲しいと思っていた男の名前があがる。
「おぉー!金城くん、優しいもんね」
「...うん!」
...何が優しいだよ。
あんなの、イケメン優等生の皮を被ったクズでしかない。
ふつふつと怒りが込み上げてくる。
はー......蒼井の好きなやつなんて聞きたくなかった。