ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。


放課後、俺は帰るフリをして学校に残った。


俺の中には、金城のあの言葉は半分冗談なのではないかと思っていた部分もあり、すぐには助けなかった。


それに蒼井とってはこのうえなく幸せなはずだから、今までのこともあってせめて邪魔はしたくなかった。


...だけど、やっぱり駄目だった。


金城は昼に言ってたように蒼井を襲い、泣かせた。


「...大丈夫か」


そう声をかけて、はだけた服を隠すように俺のジャケットを着せた。


蒼井の体は震えていて、涙は止まりそうになくて。


こんな姿見てられないと、抱きしめてしまった。


蒼井は嫌がるかと思ったけどそうでもなくて、俺に身を預けてくれた。


「あんなに忠告したのに」


こんな場で、いつもみたいな言い方をするべきでは無いのは分かってるはずなのに、強く言ってしまう。


「ごめ......んなさい...」


反発もせずに素直に謝る蒼井。


それが何となく嬉しいような...いつもと違くて悲しいような感じがして。


普段通りに戻って欲しくて、気を引くために額にキスしてしまった。
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