ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。

密室で、いじわるな君と。


次の日。


「なぎ〜〜!」


教室に入ると、ゆあちゃんが目を輝かせながらこちらにやって来た。


絶対、昨日のことを聞きたがってるよね……。


ゆあちゃんの期待に応えられるような内容じゃないと思うと、心が苦しい。


けど友達には嘘をつきたくないから、本当のことを話した。



金城くんに告白されたこと、だけど襲われてこわい目に遭ったこと。


——天野が助けてくれて、慰めてくれたことも。



「...なぎ、金城くんのこと気づいてあげられなくてごめんね」


突然落ち込んだ表情でそう言った。


「な、なんでゆあちゃんが謝るの?!」

「だって、友達が危険な目に遭うかもしれなかったのに、事前に助けられなかったんだよ?」


...でも、金城くんの裏の顔に気づけるはずがない。


今までそういう片鱗は見えなかったし、ゆあちゃんが気づけなかったのも無理はないと思う。


「気持ちだけでも嬉しいよ...!ありがと」

「ほんと、なぎはいい子なんだから...。でも、まさかあの天野が助けてくれるなんてね。好きになっちゃった?」

「いや、ないない。ほんとは優しやつだとは思ったけど」

「ほんとぉー?」


ゆあちゃんがにやにやしながらこちらを見てくる。


いや、天野のこと好きとかない......うん、ない。
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