ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。
だって今まで何も言わずに、ただ邪魔して来たやつだし。
一度助けられて、優しいとこを見たとしても、そんなすぐに落ちるような私ではない。
「ゆあ~!」
ドアからゆあちゃんのことを呼びかける生徒が顔を見せる。
「あっごめん呼ばれてるから行ってくるね。またなんかあったら教えて!」
「うん!行ってらっしゃい」
手を振ってゆあちゃんを見送る。
ふぅ...と、一息ついていると。
「おい」
後ろから...いや、今日はなぜか私の机の前に立って、声をかけてきた。
「あ、天野...?どうしたの急に」
「いや............もう、大丈夫か?」
...もしかして、まだ心配してくれてる?
昨日までと違って威圧感みたいなのはなく、こう、なんか控えめな感じ。
それが逆に慣れてなくて違和感。
「...大丈夫、もう吹っ切れた!」
そう言うと、少し浮かない顔をしていた天野は安心したかのようにすっと元の、いつもみたいな表情に戻った。