ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。

だって今まで何も言わずに、ただ邪魔して来たやつだし。


一度助けられて、優しいとこを見たとしても、そんなすぐに落ちるような私ではない。


「ゆあ~!」


ドアからゆあちゃんのことを呼びかける生徒が顔を見せる。


「あっごめん呼ばれてるから行ってくるね。またなんかあったら教えて!」

「うん!行ってらっしゃい」


手を振ってゆあちゃんを見送る。


ふぅ...と、一息ついていると。


「おい」


後ろから...いや、今日はなぜか私の机の前に立って、声をかけてきた。


「あ、天野...?どうしたの急に」

「いや............もう、大丈夫か?」


...もしかして、まだ心配してくれてる?


昨日までと違って威圧感みたいなのはなく、こう、なんか控えめな感じ。


それが逆に慣れてなくて違和感。


「...大丈夫、もう吹っ切れた!」


そう言うと、少し浮かない顔をしていた天野は安心したかのようにすっと元の、いつもみたいな表情に戻った。
< 29 / 48 >

この作品をシェア

pagetop