ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。
「はぁ…」
ふと、ため息をつく。
金城くんに誘われたのはすごく嬉しい、嬉しいんだけれど…。
彼と仲良くなれていることとは別に、さっきゆあちゃんも言ってた、ツン王子に関する悩みがあった。
「蒼井」
後ろの席から名前を呼ばれる。
その声は、低めで落ち着いているトーン。
この時点で分かった。
…面倒ごとが今にも起きそう。
「な、何?」
振り返って、自分を呼ぶ声の主の方を見る。
色白でさらっとした黒髪がよく目立つ男。
私を不機嫌そうな顔で見る。
「——お前、明日金城と帰るな」