ツンデレ王子の溺愛は二人きりの時に。
「…何度言われても、私は天野の言うことは聞かないよ」
私はまっすぐ天野の方を向いて言った。
「今回だけは、”絶対”に帰るな」
「な、なによ絶対にって…」
何の理由も無しに、命令口調で言われた。
普段から口が悪いのに、今日はよりいっそう悪い…というか怖い。
それでも私は引き下がらないで、自分の意思を貫いた。
「絶対に金城くんと帰るから。私の恋の邪魔しないで!」
ふいっと、振り向いていた顔を前にして会話をやめた。
「どうなっても知らないからな」
冷たい言葉を残す。
なんでいっつも口出ししてくるの?!
私何かした?!
天野はいつもこんな感じで私にちょっかいをかける。
何の意図があってこんなことをしてくるのか。
「はぁ…もう…」
再び大きなため息をつく。
せっかく幸せだったのに、天野と話したせいで最悪な気持ちになった。